王舎城の悲劇を知る: 阿闍世王の救い 永原智行

2020年6月12日

浄土真宗に関心を持っている方は、「阿闍世」という人物の名前を耳にしたことがあるでしょう。阿闍世は「王舎城の悲劇」と呼ばれるエピソードの主要な登場人物で、親鸞聖人は『教行信証』に引用しておられます。しかし、不思議なことに、親鸞聖人よりも前の日本の学僧で阿闍世について記したのは、源信和尚の『往生要集』に、阿闍世王は懺悔によって罪が滅せられたとあるだけです。『観無量寿経』の解説書を書いた中国の諸師や善導大師には、阿闍世王は見られますが、親鸞聖人のように経説のメインに阿闍世王を取り上げた方はいません。
この本では、「阿闍世とは何者か」という点を、出来る限り多くの経典を読み解きながら明らかにするとともに、説話文学というジャンルをも注目しながら考察しました。

第一章 王舎城の悲劇
第二章 阿闍世の回心
第三章 『今昔物語』の阿闍世
第四章 教行信証行巻の阿闍世王太子
第五章 教行信証化身土巻にみられる阿闍世

著者略歴

永原 智行(ながはら ともゆき)

昭和37年(1962年)、和歌山県に生れる。昭和59年(1984年)龍谷大学文学部仏教学科真宗学専攻卒業。浄土真宗本願寺派教専寺住職。著書に『阿闍世のすべて―悪人成仏の思想史―』(法蔵館)

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