百年後、無量の時のあなたたちへ、いま、私へ 青原さとし

2015年1月26日

映像叙事詩「土徳流離 奥州相馬復興への悲願」製作ノート

二百年前、富山から相双地方に入植した真宗移民。懐中に阿弥陀如来像をかかえ裸一貫で福島の地を訪れた人々は、元の土着民との軋轢を起こしながら徐々に土地に溶け込み、相馬の伝統の中を浄土真宗の生き方に根ざした「土徳」を築いてゆく。しかし、寺を建て仏壇を迎え豊かな信仰が受け継がれたその土地を、2011年の震災による津波と放射能が襲う。
『土徳~焼跡地に生かされて~』で広島の浄土真宗の門徒が原爆を乗り越えてゆく過程を描いたドキュメンタリー映像作家の青原さとしが、相双地方に生きる真宗移民と震災の現実を描いた映画『土徳流離 奥州相馬復興への悲願』。その製作の過程を豊かな筆致で描くノート。

目次
一、見えない歴史の記録
二、ヒロシマからフクシマへ
三、響きあう真宗地帯
四、クランクイン!
五、相馬野馬追と真宗移民
六、文化の軋轢からの脱却
七、惣報恩講にみる移民の歴史
八、遺物が語る第二の故郷
九、見えない恐怖からの流離
十、百年後、無量の時のあなたたちへ、いま、私へ
十一、補足~あとがきにかえて

著者略歴

青原さとし

一九六一年 広島市の眞光寺(浄土真宗本願寺派)に生まれる。一九八五年龍谷大学仏教学科卒業。一九八七年 映像を志し上京。イメージ・フォーラム付属映像研究所第十期生。一九八八~二〇〇二年民族文化映像研究所に在籍。同所所長・姫田忠義(民俗学者宮本常一の弟子)に師事し、日本列島に伝わる様々な庶民の生活文化の映像記録作業に関わる。主な演出作品:『七島正月とヒチゲー』『竹の焼畑』『ガジュマルの樹』『赤山渋』『桧原村の式三番』『山の獅子舞』『上岡観音の絵馬市』『畔吉の万作踊り』他
二〇〇三年 『土徳-焼跡地に生かされて』。以後、故郷広島を拠点にドキュメンタリー映画を次々に制作。『雪国木羽屋根物語』(二〇〇四)、『山踏み-森林再生への道』((二〇〇五)、『望郷-広瀬小学校原爆犠牲者をさがして』(二〇〇六)、筑紫哲也のNEWS23 マンデープラス『海を越えて大地に生きる』(二〇〇八)、『人形の町岩槻』(二〇〇八)『三百七十五年目の春風』(二〇一〇)、『タケヤネの里』(二〇一一)、『時を鋳込む』(二〇一一)、『大遠忌見聞記』(二〇一二)、『御相続』(二〇一二)、『音の記憶・つながり』(二〇一三)。

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